理事長就任の挨拶
社会医療法人天神会
新古賀病院
総病院長
島 弘志

皆さん、こんにちは。この度10年間の長きに亘り、日本診療情報管理学会をご指導頂いた末永先生の後任として、この大役を仰せつかった島でございます。 日本病院会では、中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を務めていたこともあり、 診療報酬検討委員会の取りまとめや、医業税制、中小病院、新たに始まる協会けんぽの人間ドック等の担当副会長を務めております。
現在の病院は、経営不振に陥っているところが多くあり、四病院団体協議会(四病協)の病院経営定期調査によると医業利益の73.8%、経常利益では63.6%の病院が赤字を抱えているのが実態です。 諸物価の高騰、他の産業に比べれば低いものの職員への賃上げ等により、入ってくる収入の大半は公定価格である診療報酬であるのに対し、支出が大幅に増え、マイナスの収支差が広がっています。 昨年の医療施設の倒産数は過去最大であり、このまま何らかの財政支援がなければ、今年は更に倒産する施設が増えると思われます。 診療報酬改定は2年に1度であり、令和8年の改定で改定率の大幅引き上げが期待されるところですが、現在の政治の混迷を考えるとかなり不安が残ります。
さて、診療録の管理から始まったこの学会も50年の歴史の中で診療情報を如何に正確に分析し、利活用するかによって、提供する医療の質を改善し、 経営に資するデータを医療施設に還元することが分かり、現在の学会名称になったと理解しております。 日本の医療の中で、この学会が、増々重要になってくると考えますが、病院管理者、現場の医師の意識改革を促し、 診療情報管理士が院内外で活躍できる環境を整えていくこともこの学会の使命と考えます。 特にICD-11への変更が2027年に迫る中、先生方への理解を深めていくことが極めて重要ですが、院内勉強会も含めて周知徹底した広報、啓発が必要と考えています。
第51回日本診療情報管理学会学術大会(松本万夫学術大会長)のシンポジウムにおいて、診療情報管理士の国家資格化について話し合われました。 私自身も国家資格であればと思っていましたが、このシンポジウムを聞いていて、簡単ではないなと感じました。 現在の診療報酬の施設基準は人的要件が多く取り入れられており、人材確保が困難なために施設基準を下げるか、 維持するために人材派遣会社に、多額の派遣料を支払っているのが現状ですが、 今後の労働生産人口の減少を考えると診療情報管理士の国家資格化が正しいのか悩むところですが、 努力して取得した資格に対して、病院事務職の中でも高い評価が得られるように、改定要望を出し続け、診療報酬の中でも評価を得たいと思います。 今後は、診療情報管理士のおかげで、病院の評判も良くなり、経営も安定していると言われるようにしていきたいと考えています。
最後になりますが、会員増強を図る事とICD-11の普及は私の使命と考えております。 今後とも学会会員の皆様のご指導、ご鞭撻をお願いして私の挨拶とさせて頂ます。